Tunnels & Trolls、T&Tは、Ken St Andre氏によって作られ、1975年に米国Flying Buffalo社によって出版されたファンタジーRPGです。その後何度か改訂され、1979年に出た第5版が現在の標準です。米国では一度は絶版になりましたが、最近再販されました。内容は絶版になった時のものと全く同一です。このページはその再版版に対応しています。
とはいっても、調査不足のため何年に第何版が出た、などという情報はよくわかりません。知っている方、連絡お願いします。手元にあるルールを見ると1979年には既に第5版が出ていたようですが。
T&Tがはじめてこの世界に登場した1975年は、RPGの歴史が始まった時期とほぼ一致します。その前年の1974年にRPGの元祖といわれるD&Dが発売され、おおよそRPGといわれるものはD&DとT&Tだけだったように思えます。そんな中T&Tは一種D&Dのアンチテーゼとしての側面を持って発売されました。
その簡潔なルールと入手しやすさからD&Dと並びRPGの代名詞となったT&Tは、その後次々と発売されたソロアドベンチャーで一躍有名になります。いわゆるゲームブックの形を取ったこのソロアドベンチャー群はゲームブック全盛の時代の引き金になっています。
T&Tはその後コンピュータゲームにもなりましたが、後発の様々なRPG(AD&D、RQ、RMなど)に押されてプレイされる割合を減らしていきました。しかし、その独特のルールに魅了されたたくさんのファンが今でも世界中でT&Tをプレイし続けています。
T&Tの特徴は何と言っても省略の美学にあります。特にその面は戦闘システムにおいて顕著です。モンスターはMR(モンスターレート)と呼ばれるただ１つの数値だけで表され、戦闘においては敵味方の与えたダメージを全て合計してその差分だけ相手にダメージを与えます。与えるダメージはモンスターならMR、キャラクターなら持っている武器によって決まり、時には何十個も振ることになり、100を越えるような数値が平然と飛び交います。その大胆さの中に秘められたリアリティはまさに現実の数値化というルールの役割を見事に果たしているといえます。
また、86種にも及ぶ近接武器、種類や大きさによって詳細に分けられた飛び道具、装備箇所で分けられた鎧などの詳細なデータも特徴の一つでしょう。武器はダメージが決まっていますが、それぞれに使うために必要な体力度と器用度が設定されていて、武器の個性化に一役買っています。
T&Tの種族は能力値への倍率で表現されます。プラスマイナスではなく、２倍とか、半分とかなどなのです。それらの修正によりそれぞれの種族のキャラクターの能力値は非常に極端なものになり、その種族の特徴を如実に表すことになります。バランス的な問題はありますが。
T&Tにおいては、魔法は超能力の一種で、使うときは体力度を消費します。また、魔術師だけでなく盗賊も魔法を使うことが出来ます。T&Tにおける戦士は魔法を使う能力を先天的に持たない者ですが、盗賊は魔術師になることを断念した者達なのです。有名な魔法「これでも喰らえ！(Take That,You Fiend!)」は目標にキャラクターの知性度と同じダメージを与えます。体力度の消費を倍にしてダメージを倍にしたりも出来る、まさに必殺の魔法です。
このようにT&Tは全体的に大胆さの中に絶妙にリアリティを表現したルールです。ルールが世界を語るという点ではある意味T&Tは最も優れたRPGと言えるかもしれません。
日本では、T&Tは1987年に社会思想社の現代教養文庫から出版されました。その後、同文庫からたくさんのソロアドベンチャーが邦訳され、出版されています。現在でも入手は可能です。
また、グループSNEからリメイク版の「ハイパートンネルズ＆トロールズ」が出ています。かつては社会思想社から出ていましたが、現在は角川スニーカーＧ文庫から出ています。
角川版ハイパーT&Tは持っていないのでわかりませんが、社会思想社版の日本語版T&Tには英語版と多少の差異があります。確認できている所では次の通りです。
T&Tに関するサプリメントを紹介します。パーティーシナリオやソロアドベンチャーの解説は現在はまだありません。そのうちつける予定です。また、他にもこんなものがあるぞ、というものを知っている方は連絡下さい。なお、ここに載せたものが現在でも入手できるかは不明です。
本来はT&Tとは別のゲームです。T&Tのシステムを利用してモンスターをプレイする事を目標にしています。別のRPGでも似たようなシステムがあることがありますが、このモンスター！モンスター！がユニークなのは「本当の」怪物をロールプレイすることを薦めていることです。村を襲い、無抵抗な村人を虐殺し、略奪することが目的なのです。
T&Tのパーティーシナリオです。ゲームマスター以外の人は読まない方がいいでしょう。上の2つは邦訳が同じ題名で社会思想社から出ています。
T&Tのソロアドベンチャーです。日本語版があるものはその題名と収録されている本の名前(全て社会思想社の教養文庫)を載せておきました。それぞれのソロアドベンチャーのキャラクターの条件も書いておきます。魔法表というのは、無くても魔法を使うことが出来ますが制限されます。あると色々な場面で様々な魔法が使えます。
ソロアドベンチャー#22以降はT&Tのホームページで入手可能なようです。
小さなソロアドベンチャーらしいです。詳しいことはよくわかりません。
読んでおくと役に立つかもしれない本の紹介です。
J.R.R.Tolkienの長編小説です。ほとんど全てのファンタジーRPGの基礎となった作品なので、読んでおいて損はないでしょう。これに登場する魔術師ガンダルフや、アーサー王伝説のマーリンがT&Tの魔術師のモデルです。日本語版は評論社より瀬田貞二氏の訳で出ています。
R.E.Howardの短編小説集です。言うまでもなく主人公のコナンはT&Tの戦士のモデルですし、世界観もT&Tに近いものがあります。日本語版は東京創元社などから出ています。
Flitz Leiberの短編小説集です。主人公のファファードはT&Tの戦士、グレイマウザーは盗賊のまさに見本です。また、真のシティアドベンチャーとはなんたるかがよくわかります。日本語版は東京創元社より出ています。
このページの情報の多くについて、べお氏に多大なる情報提供をしていただきました。氏はまだここに載せていないサプリメントの紹介やより詳しい解説をなさって下さいましたが、こちらから提供できる情報が追いつかないので、今回は割愛させていただきました。どうもありがとうございます。
T&T,Tunnels & Trollsは米国Flying Buffalo社の登録商標です。
T&Tのルールブックは米国Flying Buffalo社の著作物です。
Flying Buffalo社以外の許可は得ずにそれぞれの著作物を紹介させて貰いました。ご了承下さい。何か問題がありましたらご連絡下されば幸いです。